o ya su mi 。。。
……きみはたぶん、
穏やかな春の日
日溜まりの中でぬくもりを感じながら俺と渚を交互に見つめる
菫や蓮華、アブラナといった花盛りの中
そうしてきみは駆けめぐるんだ
降りしきる梅雨の日
あしたの遠足の日を楽しみにしながら
きっと晴れるようにと作った大量の照る照る坊主を渚と一緒になって俺に自慢するんだ
照りつける夏の日
プールに 海に 山に
きみのフィールドを無限にひろげる
捕まえた蝉を俺達に自慢したり クワガタ虫を買ってとせがんだり
せっかく折角の砂のお城が崩れるのをさびしげ見つめたりで大忙しだ
でも崩れて無くなるのは夏休みも同じなんだから
少しは俺達や早苗さんを当てにせず早めに宿題を片付けた方がいい
色付く秋の日
運動会では徒競走で一位を取ったり、ダンスをしたり
綱引きで振り落とされそうになったりと大奮戦だ
気が付くともう片づけで入場門を片付ける先生たちを見て祭りの終わりを知るんだ
木枯らし吹く冬の日
渚に編んで貰ったばかりの厚手の手袋をして
三人で揚げたたこを見上げると
F-18の描いた飛行機雲が澄み切った蒼空にラインを残して飛び去って行くんだ
日が陰ると帰りがけ コンビニで買ったおでんが冷める前
うちに帰る道すがら肉まんを頬張りながら
「肉まん家族だね」って渚とふたり笑うんだ
何気ない季節の中 何気ない一日の中
そうやってきみは過ごして行くんだろう
でも、
……ここにきみは居ない
生まれることができなかったきみは
きっと全ての厄災を持ち去ってくれたんだね……
あれから渚はずっと元気だ
そりゃ少しは風邪ぐらい引くけれど
風邪薬が有れば直ぐに良くなるほど健やかに日々を過ごさせて貰っている
だから今年生まれたきみの妹にきみの為に用意していた名前を貰ったよ
きみが渚の中にいた九ヶ月を忘れないように……
きっと俺の中でのきみみたいに
強くて元気で穏やかな春の日溜まりのように優しく明るい女の子に
渚と二人 きっとそう育ててみせるから……
……だから今は安心しておやすみ……
……そのぬくもりの中で……
o ya su mi 。。。
……汐……