〜雪の少女の憂鬱〜 <壱> (1−1)  いつもの土曜日の昼下がり。 商店街の路上には積もった雪。 今年も、こんな季節が来たんだなぁと街路を歩きながらそう思う。雪は…放っておくと、 瞬く間に積もってしまう。心の中の雪もまた… 「…なゆきさん」 後ろからわたしに呼びかける声。 もちろん聴き覚えがある声。 「あっ、栞ちゃん。こんにちわだよ」 香里の妹で、祐一の彼女の栞ちゃんだ。 数年前までは、重い病気で入院していたらしいんだけど、今ではすっかり元気になって高 校生活をエンジョイしている。 祐一を取られちゃったから内心ちょっとフクザツだけれど、なんか栞ちゃんて憎めないと ころがある。香里の妹だって言うだけじゃなくってし、栞ちゃんだったらから許せてしま うンじゃないかなってそう思ったりもする。 彼女はそういうコだ。 「こんにちは…」 下校途中の制服の栞ちゃんは、なんだか少し元気がないように見える。 「どうしたの、栞ちゃん…」 そう言いながら、栞ちゃんの傍らに祐一がいないことに気がついた。 祐一も大学が休みに入ってるから、てっきり、どこかで待ち合わせて午後から出かけたの かと思っていたんだけど… 「…ちよっと、お話ししませんか…」 「うんいいけど…。わたしでいいの」 浮かない表情の栞ちゃんの力になれるのならいくらでも相談に乗ってあげるつもりだった。 「でも、ここじゃなくて…百花屋にいかない?わたしが奢るよ」 (1−2) 「…名雪さんきいてくださいよ…」 イチゴサンデーとバニラアイスがつく頃、 栞ちゃんが口を開く。 「さいきん、祐一さん冷たいんです…」 アイスを載せたスプーンを口元に運びながら そういった。 「…そうなの?」 イチゴサンデーを一口。 「はい、デートの途中でもなんか別のことを考えてるみたいで上の空で…」 …やっぱりそう来るんだね…。多少ののろけ話は仕方がないだろうけど… 「香里には、話したの?」 「…はい。でも、お姉ちゃんもなんか隠してるみたいで…」 香里も何か一枚噛んでいるらしい。まさかとは思うけど…妹想いの香里が、栞ちゃんの恋 人取ったりするとは思えない。…でも、何か知っている様な気がするよ。 「それじゃあわたしも、今度祐一に探り入れてみるよ」 「有り難うございます」 「とりあえず、融ける前にたべようよ」 「はい」 <弐> 00:24 shiiko>それで、その彼氏の従姉妹は…調べてくれたんでしょ? 00:26 shiori>そうなんですけど…おかしいんですよね… 00:28 shiiko>どんな風に? 00:29 shiori>こんどはその人まで、なんか含み笑いで「だいじょうぶだよ」って… 00:32 mio>隠し事は良くないの 00:32 shiiko>ふ〜ん…なるほどねぇ。あかねはどう思う? 00:34 akane>しおりさんの彼は浮気はしていません。 00:35 shiiko>言い切るわよね… 00:36 mio>でも隠し事が気になるの…(~〜~;) 00:37 shiori>そうなんですよね… 00:38 akane>たぶん、多分他愛のないこと…ですよ 00:41 shiori>解ったような解らないような…(^^;A 00:43 akane>しおりさんに隠しておいて何か驚かす様なこと…例えば… 00:45 shiiko>…例えば? 00:47 akane>内緒です。私が言ってしまったら楽しみも半減ですし 00:48 mio>意味深なの… 00:48 shiori>でも、それってちょっと格好いいですよね(笑)  00:49 kotoneさんが入室しました。 00:49 kotone>こんばんわぁ(^-^)/ 00:50 mio>こんばんわなの〜♪(^◇^)b>ことねさん 00:50 shiori>こんばんわー!>ことねさん 00:50 akane>こんばんは 00:51 kotone>なんのお話ですか? 00:51 shiiko>こんばんわ〜♪ 00:52 mio>あのねあのね、しおりさんのお話なの〜 <参> (3−1) 「はぁ〜…」 わたしは深いため息をついた。 栞ちゃんには、その場の成り行きで探り入れたげるなんて言っちゃったけど… 直接聴くわけにもいかないし…ほんとにこまったよ。 お母さんだったら、こういうことをさりげなく聞き出すのも聞き出すのも得意なんだろう けど…。 う〜…気がおもいよ… もしふりかえったら、わたしの足跡は雪道の上を蛇行していたろうと思う。 おもむろに立ち止まって、手近な店の店先を覗くと、…ああ〜っ…祐一と香里がいるよ…。 しかも手芸店だよ、理解に苦しむんだよ…。 …こまったなぁ。遭いたくないときに限って遭っちゃうもんだよ。よりによって、二人そ ろっているんだよ…。 そそくさと、その場を立ち去ろうとしたとき… 「名雪!」X2 ハモってるよ… う゛〜…来ないでよぅ…。わたしは、心の中で念仏を唱える様な気持ちでそう祈った。 だけど、現実って言うのは時として非情だ。 「どうしたのよ、苦虫かみつぶしたような顔して」 「何も、人の顔観て、逃げる必要もないだろ」 …人の気も知らないで… 「人の気も知らないで…祐一も、香里も…。栞ちゃんに説明できないんだよ…」 「へ?」 二人は顔を見合わせて驚いている様子だった。 (3−2) 「栞は名雪にそんな相談持ちかけたの…」 再び百花屋。 まさか、一日に二度もココに来くるなんて思わなかったよ。 「…それじゃ二人は、栞ちゃんのためにやってたんだね」 「そうだけど…な」 「相沢君が誤解を招く行動をとるからよ…」 「仕方ないだろ…贈ってから驚かそうと思ったんだから」 テーブルにはさめかけた紅茶三杯と、わたしの苺クレープ、そして香里のモンブラン。 祐一の全部おごり。なんだか、少し申し訳ない気がした。 「…割と根に持つわよ、あの子」 「そうだな…あとが結構怖いからなぁ」 「あきらめて、栞ちゃんに白状しちゃったら…祐一」 「ここまできて、今更言うわけにいかないだろ…それにばらしちゃったらそれこそ今まで の努力が水の泡だぞ…」 三人そろってが深いため息。 「それで、名雪はどう報告するつもりなのよ」 「それなんだよ…。困ったよどうしよう…」 はぁ〜…… 「仕方ないわね…とりあえず」 …そして… <四> 23:47 kotoneさんが入室されました 23:48 kotone>こんばんはぁ 23:49 shiiko>こんばんわぁ! 23:49 mio>こんばんわなの〜♪ 23:50 kotone>あれ、今日はしおりさんとあかねさんはまだ来てないんですか? 23:51 shiiko>そう言えば、まだ来てないわね…。どうしたんだろうね 23:51 kotone>そう言えば、あれからしおりさんはどうされたんでしょう… 23:52 shiiko>気になるわよね…やっぱり。 23:52 kotone>しほさんなら「絶対浮気してるわよ」とか言いそうですよ(^^;A) 23:53 sihocyanが入室されました 23:54 mio>絶対言うの〜( ̄▽ ̄;) 23:54 shiiko>言いそうよね… 23:55 mio>こんばんわなの〜>しほちゃんさん 23:55 sihocyan>やっほー!みんな元気してたぁ 23:56 kotone>こんばんわ 23:56 shiiko>こんばんわー 23:56 sihocyan>ねぇ、誰がなんて言うの(^^)/ 23:58 shiiko>やっぱりそうきたか…(笑) 23:58 kotone>あはは…(苦笑) 23:59 akaneが入室しました 00:00 akane>こんばんは 00:00 shioriが入室しました 00:01 shiori>こんばんわー! 00:01 mio>こんばんわなの〜♪>あかねさん しおりさん 00:02 kotone>こんばんわー>あかねさん しおりさん 00:02 shiiko>こんばんわぁ!>あかね、しおりちゃん 00:03 sihocyan>こんばんわー! 00:04 shiiko>しおりちゃんあの後どうなったの… 00:05 sihocyan>なになに…あの後ってなに? 00:06 shiori>それがですねえ、実はですねえ…(o ̄▽ ̄o) 00:08 mio>ワクワク♪(^◇^) 00:08 kotone>どきどきしますね… 00:09 akane>…ふふふ…(^^) 00:10 shiiko>あかね余裕ね… 00:11 akane>私はうかがいましたから 00:12 shiiko>あかねだけずるい… 00:12 kotone>ちょっと羨ましいです 00:13 sihocyan>ねぇ…なんなのよう… 00:14 shiori>皆さんにもこれからお話ししますから…(^^;A) 00:14 sihocyan>ねぇ…あたしだけのけものにしないでぇ〜(T◇T) <伍> 「…香里。やっぱりやめようよ〜」 「ココまで来て何言ってるの!」 「やっぱり悪趣味だとおもうよ…」 「あたしは、最後まで見届ける義務があるから続けるわよ」 「香里…」 姉妹…ってやっぱり似てるものだと私は思うよ… 二人ともわりと言い出したら訊かないところがあるんだよ…。 まさか、祐一と栞ちゃんの後をつけようなんて言い出すとは思っていなかった。 ココまで、ドラマの刑事顔負けの尾行をしてきたんだけど…やっぱり悪趣味だと思う。 それに、祐一は気がついてるみたいだし… 「ねぇ…かおり…」 わたしはココからでも香里を止めようとしたその時… 「よう、、美坂、水瀬…むぐぅっ!」 北川君が声をかけてきた 「シッ!声が大きい!二人に聞こえちゃうじゃない」 「え?」 「祐一さん何か気配がしませんでしたか…」 「…気のせいだと思うぞ…」 「…なんだか、北川さんの声がしたような…」 「…絶対気のせいだ…俺には何にも聞こえなかったぞ…」 …祐一ナイスなフォロだよ…。 「ふぅ…」 「…何か面白そうなことやってるみたいだな」 「…そうかもね…(にやそ)」 「うー…全然面白くないんだよ〜…」 「でも、相沢君も何か協力してくれてるみたいよ…」 「…邪魔されたくないだけだと思うよ…」 はぁ〜… 「俺もついて行くぞ。面白そうだから…」 「邪魔だけはしないでね」 「了解!」 『了解!』って…ああ…止めて欲しかったんだよ…、北川君…。 結局、祐一と栞ちゃんのデートに丸々一日付き合い、尾行を続けて…静かな公園までやっ て来たんだよ…。こんなところがあるなんて知らなかったよ…。 寒空、雪の公園…どう見ても無駄としか思えない流しっぱなしの噴水は、街頭の光を浴び ていい雰囲気で照らし出されていた。 こんな甘い雰囲気で恋人達は、…流石にいないよ…。 寒い…し、良く来ると思うよ…。 「はぁ…寒いわね…」 「当たり前だよ…」 「昔『八甲田山』って映画があったよな…」 「…不吉な事言わないでよ…まるで遭難中みたいじゃない。あたしたちはともかく、栞に は遭難して欲しくないんだからね…」 「冗談だって…」 香里の瞳はちょっと潤んでる…半分まじだったみたいだよ… 北川君は、頭を下げて何とか許してもらえたみたいだけど… どうも恋人達二人分だけは、別世界で温度が違うじゃないかとおもうよ… 「やっぱり寒くないか…栞…」 「寒いですよ…でも、ここ二人の思い出の場所ですから…」 やっぱり寒いらしいよ… 「そうだよな…何度来てもいい場所ではあるけど…風邪引くぞ」 「そうしたら、祐一さんに暖めてもらうからいいですよ」 ああ…何か恥ずかしい事言ってるんだよ… …雪が解けちゃうよ。 「我が妹ながらかなり積極的ね…」 「見ていて恥ずかしいよ…」 「…美坂…俺達も久しぶりに…」 どげしっ! 「場所と事態を考えて発言してもらえるかしら…(真っ赤)」 「(ボソッ)恥ずかしいのはこっちだよ」 「あっ、クライマックスみたいだぞ!」 「栞!」 「何ですか…祐一さん改まって…」 祐一は、背負っていたディーパックから包みを取り出した。 「雰囲気無いわね…さりげなくだしておくものよ…ねぇ、名雪」 「しっ、知らないンだよ…(真っ赤)」 「まあ、あんなものだと思うぞ」 祐一は、構わず栞ちゃんに包みを手渡した。 「開けていいんですか…」 祐一は無言で頷いた。 …がさがさがさ…栞ちゃんは丁寧に包装をといた 「…マフラー…」 「…ストールじゃなくってごめんな」 「手編み…なんですね…」 「いらなかったら返してくれ…おれガ使う」 栞ちゃんはしっかりとマフラーを抱きしめていった 「もらったからにはわたしのものですよ。たとえ、祐一さんに返しくてって頼まれたって 返しません…」 そして、マフラーは栞ちゃんの首に巻かれ… 「このストールとお揃いなんですね、似合いますか」 くるりと一回転する栞ちゃん…やばいんだよ…見つかっちゃうよ 「際どかったわね…今のは…」 「…まあな」 「ありがとう…祐一さん…。」 「本当は、これはクリスマスイブに贈ろうと思っていたんだけどな…ちょっと早くなっち まったな」 「…そんなこと無いです。それより、最近冷たいから…わたしのこと嫌いになったのかと 悩んでいました…」 栞ちゃんは涙声だった… 「そんなこと無いって。…おれは、…今でも世界で一番栞のことを大事に思ってるよ」 「なんか恥ずかしい事言ってます」 「…恥ずかしい事言ってるよ…」 「で…それは兎も角として…」 …振り向く二人 「お姉ちゃん!」 「名雪!もう隠れてないで出てこい!」 ずぼっ…! 「…きづいてたの」 「当たり前だよ…。香里、まさか本気で気がついてないと思っていなかった?」 「俺もばれてたと思うぞ…」 「…不覚だったわ」 …結局、わたしたち五人はうちで夕御飯を食べてるんだよ… 「まあ、俺はともかくだ…。栞に気付かない振りをさせるのは大変だったぞ…」 「栞は、何時から気がついてたの…」 「百花屋さんから…。お姉ちゃん、あの変な変装やめた方がいいよ…」 「グラサンと帽子は変装の基本よ!」 「…二人で笑いこらえるのが大変だったんだぞ…」 「あらあら楽しそうね」 「はい、楽しいです」 「御飯も美味しいしな、美坂」 「今日は、お家の方には連絡して置いたからみんな泊まっていってくださいね」 「すみません…」X2 香里と北川君がハモる。 「あらまあ、息がぴったりですね」 「…」 「…秋子さん有り難うございます」 と栞ちゃん。 「俺は、美坂と一緒がいいな…」 「了承」 どけっし! 「潤…時と場所をわきまえなさいっていってるでしょう!ほら…了承されちゃったじゃな い…(真っ赤)」 「わたしも…祐一さんと…(真っ赤)」 「了承!」 「栞まで…」 こうして、師走の夜は更けていったんだよ… 翌日の四人の…妙につやつやしていたことといったら… …ああ、わたしの春は何時来るのだろう… 劇終<fin>