その程度の未来     

 

「♪ふふふふんふん〜ふふふふふふふん〜」

 何年か前に流行った恋愛ドラマの主題歌のハミングが浴室から聞こえた、多分、今浴室の窓から眺める景色は晴天に映える富士の嶺の蒼さだろうう。浴槽に入ったまま見られる景色としては最高の部類だと思う。

「それで、何やってるんだよ。椋」
「きゃっ!」
 旦那に浴室を覗かれで思わず身構えて居るのはあたしの妹。
「『きゃっ!』って……ジャージ姿で身構えられても困るんだけどな」 
「べ……つにそう言う意味……じゃないです」 
 
 そこがどこだか思い出したらしい妹は、誤魔化し笑いしながら顔を赤らめた。
「それで、ご満悦のところ悪いんだけどな……」
 タオルを鉢巻きをした朋也は浴室の外を指さして溜息をつく。
居間の方にはまだまだ一時保存の段ボールが積んであるだけならまだ、椋もそれだけで済んだんだろうけれど、手伝いに来てくれていたあたしと目があったから更に真っ赤になる。

「……ツ……バクカンサルマッ?!」
 どうやら、相当ショックだったみたいで、自分が何処かの放射能の中で生きる青白い肌の血色の悪いそうな宇宙人の言語の様な、訳の分からないことを口走っている事にすら気が付かない。そんなに見られて恥ずかしいならしなきゃいいのに……
「で、続きはとうしたの?」
「つ……つつづきって、なな何のこ……と?」
 あたしのさりげない突っ込みに、必死で誤魔化しているけれど、またしても日本語としてかなり怪しかった。
「さっきのあれ、『ユラナド』の主題歌だよね。僕も欠かさず見て……」
 ゲシッ!
 取りあえず、端から何か言いたげなヘタレを『現代用語の基礎知識』でノックアウトしておく。
「おい杏、少しは手加減しておけよ。貴重な労働力なんだからな」
「大丈夫。手心は加えてあるから」
 ほらこうして直ぐに……
「手加減してあれかい!」
「確かに、いつもより手加減はしてるみたいだな。労働力としては使えそうだし」
「でしょ♪」
「アンタたち鬼ですねっ!」
「あら、今日は一五〇%増し(当社比)の慈悲深さで接しているつもりなんだけど」
「アレで慈悲深いのかよ!」
「死にたい?」
「……慈悲深い杏様のために牛馬の労を惜しみません」
「分かればいいのよ」
「アンタやっぱり鬼ですね……」
「何か言った?」
「いや言ってない」
「それじゃ、キリキリ働く! まだまだ荷物は有るんだから。ほら、妹さんの方が良く動いてるでしょ」
 あたしは、ヘタレに視線で指し示す。視線の先には、陽平の妹の……芽衣ちゃんて言ったか……が自分より大きな荷物を運びつつ、こちらを窺って苦笑いしていた。妹を見た陽平は諦めたように持ち場に戻った。
「ほら、朋也も椋も。大体、引っ越しの主役がサボってたら不味いでしょ。あんたたち、とっとと片付けて梢ちゃん迎えに行かなきゃいけないんだし」

 梢とは、去年、椋と朋也の間に生まれた一人娘のこと。この引っ越しの混乱と埃の中に生後一年の赤ん坊を放置するわけにもいかないので、その間、ウチの両親が面倒を見てくれている。…朋也の事を最初母は兎も角、父は余り良く思っていなかったらしい。なにしろ、同棲して後の出来ちゃった婚だったし入籍はしたが式は出せなかったから。でも、実際生まれた孫の顔を拝んでしまうと今度は朋也と孫の取り合いだった。それを椋が母と苦笑しながら見ているなんて光景をしばしば見てしまうと、こっちは肩身が狭くなってしまう。まあ、そんな状態だから両親に手放しで任せられるわけなのだけれど。
 
 子供も漸く首がすわってきたから今のアパートより広い借家に、というのが引っ越しの理由だという。ただ、今の朋也のアパートより割高になるので、もう少し落ち着いたら椋の方も子供を実家に預けてまた病院で働くと言っていた。


「ねえ、お姉ちゃん。これは此処で良いの?」   
 妹が何かぼけたことを聞いてくる。
「あんたたちの家でしょ……椋が決めなさい」
 
 こんなとぼけた会話をしながら取りあえず片づけ終わったのは八時も過ぎてだった。
 レンタカーの二噸半を返しにいった朋也が、コンビニ袋を抱えて戻ってきた。袋の中身は、冷えたビール。そして、丁度良いタイミングで、さっき椋が頼んでいたお寿司の出前が到着した。
「まだ、散らかってて悪いんですけど」
 椋の言葉に皆は思い思いにの位置に座り車座になると、てんでに箸を動かした。

「ところで、芽衣ちゃん達は何処に泊まるのよ」
「……そうですねえ。駅前のビジネスホテルにでも泊まろうかと思っていたんですけど」
「家に来なさいよ。客間が空いてることだし、どうせ椋の部屋だって使ってないから」
「すみません……。これで一泊分浮きますね」
 そう言って微笑むしっかり者の妹、芽衣ちゃん。
「椋ちゃんの部屋はいいよね」
 それに対し命の惜しくないアホ兄貴はそんなぼけたことを言うので
「春原くん死にたい?」「あんたが永眠したいのならね」
 あたしたち姉妹の同時攻撃に
「……客間でいいです」
 と案外素直に降参した。

 高校時代の莫迦話に花が咲く。反論する陽平にあたしと一緒になってワザとからかって遊ぶ朋也、それを聞きながら、くすくすと際限なく笑い続ける椋と芽衣ちゃんの二人。何時までも続くかと思われたそんな楽しげな宴も、時計の針を見ると既に十二時近くになっていたのでお開きの感。

「そろそろ迎えに行かないとダメですよ」
「そういやもうそんな時間か拙いよな。流石に」

 二人のそんな言葉に場の宴会ムードも自然とお開き。そして、皆で簡単に片付けてからバタバタと玄関に向かう。

「ねえ。いっそ梢ちゃんのこと、今日一日父さん達に任せとけば?」
「そんなわけには行かないだろ」
 朋也のその言葉から、やっぱりこの人は父親だという大人の自覚が感じ取れた。それに比べたらあたしなんてまだまだ子供のままだ。
「酔ってるあんた達に任せる方がよっぽど危ないからいってるのよ」
「……お姉ちゃん?」
「良いんじゃない? 久しぶりでしょ、あんたたち夫婦水入らずって言うのも」
 要らぬお節介かも知れないが、これはあたしなりの二人への引越祝いの一つ。
「それじゃあんまり……迷惑じゃねえのか、お義父さんたちに」
 珍しく遠慮がちな朋也に対して芽衣ちゃんが助け船を出してくれる。
「たまには、羽を伸ばしてもバチはあたらないんじゃないですか」
「それに、父さんと母さんにだって孫を独占したいって言うのが本音だと思うしね」
「どうする? 椋」
「そう……ですね。たまにはいいと思う」
 椋も遠慮がちに頷いて見せた。
「仕方ないな……。それじゃ明日の朝一で迎えに行くって伝えておいてくれ」
「はいはい。行くわよ芽衣ちゃん。陽平、たまには護衛の役にぐらいたってよね」

 椋が笑いながらあたし達を送り出す。朋也はいつもように陽平をからかっている。芽衣ちゃんはそんな光景を見ながら羨ましそうにくすくすと何時までも笑っていた。幸せな光景。いつものありふれた、例えば「その程度の未来」はこれからいくらでもあるのだと、その時は何の疑いもなく感じていた。
 今思えばそれは求めていた幻想のうちのありふれた部分だったのかも知れない。
 でも、その時は本当にありふれた明日が、陳腐で代わり映えのしない未来が来るものだと信じて疑わなかった。
 朋也と椋があたしの実家に梢を引き取りに来て、そして、父さんと朋也が悪態を付きあって、母さんの作った朝食をみんなで食べたら、若い方の藤林夫婦は一歳になったばかりの娘をどちらかが抱いて、自分達の新居に帰っていく……そんな幻想を当たり前のように予定して疑わなかった。






 
 運命の歯車が狂い始めるのがこんなにもいとも簡単なことだなんて、
 その時のあたしたちは想像すらしていなかった……。
  






 
 
 朝一の約束で迎えに来るといった朋也と椋。

 時計の針はすでに正午を回っていた。
 ……朋也だけなら兎も角、椋からも一切連絡がない。
 あたしの両親がが心配そうにしていると、多分何かの用事があって少し来るのが遅れて居るんですよ、……って芽衣ちゃんがそう言って不安げなあたしの両親を宥めてくれる。

 そう……例えば
 例えば、こっそりゴミを出していこうという朋也の提案を実行して近所のうるさ型の奥さんに捕まってくどくど説教されているとか……

 例えば、近所のスーパーで一寸手土産を選んでいるうちについでだからアレもコレもと見ている間に時間だけすぎたとか……

 例えば、急な来客の襲来で……そうね誰がいい?
 そうだ高校時代の友達、そして家族ぐるみのお付き合いの謎のパン屋一家の一人娘、渚なんてどう。この間しばらくぶりにあった時なんて、しおちゃんですなんて嬉しそうに赤ちゃんを抱かせてくれたし。椋達が引っ越しするのこと話したら……今度美味しいパンを持って伺いますっ、なんて、きっと半ば食用に向かないパンよね……朋也が悪態付いて、椋が苦笑いして……

 例えば……たとえば……
 ……ってあたしの方が心配してるみたい。どうしてかしらね。

 某有名ゲームのヒロインのように繰り返される、譫言のようなあたしの「例えば……」に、わざわざ相槌を打ってくれる、出来た妹とヘタレた兄貴の変な兄妹。常識的に返事を返す妹芽衣ちゃんに、ワザといつも以上にヘタレた突っ込みでもって、あたしにいつものペースを取り戻させようとしてくれている陽平。二人とも笑顔ではあるけれど、自分たちの不安はその下に隠している。

 梢がぐずっちゃってさっきから泣き止まないんだよ……お父さんが弱り果てて言う。あなたの扱い方が悪いんじゃないの? 一寸私に貸してご覧なさい……母さんがそう言う

 泣き止まない初孫の声は、やがて電話のベルに変わる。

 あら、誰かしらね……ひょっとしたら梢ちゃんのパパですか〜。まさか、あの甲斐性なしが電話なんて掛けてくるもんか。椋だよきっと。

 窓から見える不安げな空。そこには、皆の気持ちの代弁者のようなメインローターの唸りを残して、陸自所属の対戦車ヘリコプターAH-1Sの三機編隊が、北の空に向かって飛び去っていく。




 
 そして、誰も取ろうとしない受話器を最初に取ったのは陽平だった……






 霊安室に横たわる二人は、確かに眠っているように見えた。
 
 警察からの呼び出しに……、

「それじゃ僕が確認してくるよ。多分、間違いだと思うけどさ」と先に出掛けた陽平。
 後から陽平からの電話であたしだけ来るように呼ばれて……
 警官に案内されてその部屋にはいると、ひんやり冷え切った空気の中に居た陽平が、あたしの方を一瞥して首を横に振る。その意味は考えなくても直ぐに分かった。

 その部屋で二人は横たわっていた。
 ……交通事故。飲酒運転。スピード違反。
 担当の警察官が語る現実感のない単語だけが頭のなかを通過していった。
 
 ……妹さんも旦那さんも、歩道の上に跳ばされましてですね……
 
 ……トバサレタ? 
 一瞬遠い異国の言語のようにきこえた……
 
 ……打ち所が悪かったんでしょうね。鑑識によるとお二人とも即死だそうですよ。普通は、それから後何台も続いたりして……ですね、遺族の方でも判別出来ないなんてて事もまま有りますからね……歩道に跳んで、いやあ、やっぱりそんなところは不幸中の幸いとでも言うんですかね。ご遺族の方の心中はお察ししますが……

 泪は出なかった……

 死者への冒涜……
 死者への冒涜だ。

 書類上の職務だけに熱心な警察官の浮かべた不遜な苦笑いは、あたしの神経を逆なでする。嫌悪感と怒りを増幅させるのにはそれだけで充分だった。
 でも……でもあたしの口から怒りの言葉が吐き出さはしなかった。そのとき陽平がポツリと言った一言が、あたしのやり場のない怒りから少しだけだど理性を回復させくれたのだった……

「眠ってるみたいだよね。生きてるみたいだよね。岡崎も椋ちゃんも……。でも、もう動かないんだって……さ」 

 ……月並みな言葉だった。
 だからこそ、深く染みわたる。
 そして、色々な感情が入り交じった彼の複雑で寂しげな微笑みは、不逞な警官の態度を気にならないただの記号に変換してくれた。



 通夜と告別の段取りを組んだのは意外にも春原陽平その人だった。

 朋也のお父さんである岡崎直幸さんが到着するまでの間一人で何もかも切り盛りしていた。

 何故なら、あたしの両親は突然の出来事に茫然自失だったし、陽平の妹の芽衣ちゃんはというとあたしの両親につきっきりで居てくれたからそれどころじゃなかった。あたしはどうしていたかというと……やっぱりどうすることも出来ずに、梢の面倒を見ることで現実から逃避しようとしていた。 

 そんなときに、普段はヘタレな陽平が一人で八面六臂の活躍だった。
「大したことじゃないさ。爺さんが亡くなった時も、僕が手伝ったからね」
 テキパキとこなして指示を出し続けるアイツが何となく何時にもまして頼りがいがあるように見えた。そう言えば、朋也のお父さんを呼んだのもアイツだ。特急寝台の乗車券の手配まで一人で付けて
「遅れてすまなかったね。これからはおれも手伝わせてもらうからね」
 という直幸さんに
「長旅でお疲れだろうから、取りあえずゆっくりして下さいよ」
 と労いの言葉を掛ける細やかさと余裕まで見せつけられた。もちろん、直幸さんもそれと同じくらい手伝ってくれた。でも、あたしは、陽平の普段見せないそんな素振りばかりを何となく視線で追っていた。

 全てが終わったとき……、二つの遺影と一つの位牌が真新しい仏壇の中に収まったとき、あたしは本当に掛け替えのないものを失ったことを受け入れざる得なかった。

 区切りはつけなくちゃ行けない。

 あたしはムリを承知で疲れているであろう陽平を、半ば強引に「彼らの新居」に誘った。彼は、文句の一つ言わずに付き合ってくれた。
 鍵を開けると、まだ数日しか経っていないというのに、主の居ない部屋はもう何年も空き家だったようにあたし達を拒んでいた。いや、はっきり言って、空き家だった借家を借りたのは間違いない。だから、これから新しい歴史を積んでいく家族の生活の場になるはずだった。
 
 玄関を入って、、生活感のない部屋にあがると一つ目の六畳の部屋。夕暮れ時特有の光りの中に照らされた、椋のタンスと未だ開封していない段ボールの山が幾つもの影絵を拵えている。引っ越し当日使って軒先に干してあった布団は、直幸さんが来てくれたお陰で少しゆとりが出来た芽衣ちゃんが、先に来て片付けてくれたのだろう。もう一つの和室に二組、丁寧にたたんで邪魔にならないように隅っこに寄せてあった。まるで、直ぐにでもこの家の主が還ってきてそれを使うかのように……

「芽衣らしいや。そこまでしなくってもいいのにさ」

 あたしは、何となくその言葉の中に彼の感傷を憶えた。
 彼から離れて、浴室の中に入る。この程度の借家にしては広すぎるほどの浴室内、空っぽの浴槽の中に妹の幻を捜した。
 母校の指定ジャージを着て、『ユラナド』のテーマをハミングする妹は……もうそこには居ない。そんなことはあたしだって知っている。知っていたけれど、そんな幻にさえ縋りたかった……。
 あたしは、椋がやっていた様に、空の浴槽の中に座り込むとぼーっと窓の外の空を見上げた。
 とっぷり暮れた闇の中に霊峰の姿はもはや欠片も見えなかったけれど、まるであの二人を弔うような、移ろい加減の儚い十六夜の月があたしを出迎えてくれる。ぼんやりそうして眺めていると彼の気配を感じた。

「ねえ、陽平……」
 あたしは答えを期待せずに尋ねた。
「ドラマじゃ、主人公はどうしたんだっけ……」
「そうだな……失意にくれて父親の田舎への旅に出た、そして……」
「そして?」
「再会するんだったよね」
「だれとよ」
「学生時代に一緒に馬鹿をやった双子の姉の方に」
「……それって?」

 あたしは何となく気になって聞き返した。
「先回りたんだよね。幼稚園の有給使い切って」
「その後は?」
「ドラマはそこでお決まりのキスシーンで終わりじゃん」

 オチを聞いてしまえばこれほどアホらしいことはない。月並みなラブロマンスだ。
「莫迦みたい」
 そう言うとなんだか光りが滲んできた。今頃になって、堪えていたのであろう泪が溢れてきたみたいだった。
「可笑しいわね……なんだかアンタが滲んで見えるわ」
「だったら泣いちゃえよ。杏の涙が涸れるまで居てやるからさ」
 らしくない彼の態度にあたしは思わずいつもの悪態を付いた。
「あら、仕事はいいの?」
「会社潰れたんだよ。前からヤバかったらしいんだけどね、こっちに来る直前に」
「……会社もヘタレだったのね。つくづくヘタレよねあんたも」
「今の杏に比べたらまだまだマシじゃないですかね」

 そう言って悪戯っ子のように笑った。
 そんなこと本当はどうでも良かったんだ。
 誰かが側にいてくれるだけで嬉しかった。勿論、その誰かが彼だったことが何となく嬉しかった。

 そして、あたしは彼の胸に縋るように持たれて泣いた。

「陽平。あんた、ヘタレてなけりゃ少しはいいオトコなのにね」
「今更何言ってるんですかね。……でも、ようやくいつもの藤林杏らしくなったよね」
「……よけいなおせわよ」
 
 あつかみながらも、また熱いものでこみ上げてきて……彼のはにかみ笑いが滲んで見る。
 柔らかな月光に浮かぶ浴室内の空のバスタブの中で、喪服のまま抱き合う恋人じゃない腐れ縁の男女。もしそんなシチュエーションを誰かが見ていたら、それはとてつもなく滑稽な情景だったろう。でも、その時のあたしはそんなことは気にならなかった。
 その時のあたしは、それなりに逞しいその胸板にもたれ掛かるのが精一杯だったから……

 ふと、あのドラマのラストシーンが頭を過ぎる。ひょっとしたら「その程度の未来」なんて、気付かないだけで何時でも案外近くの、手に届くところにあるのかも知れない……
 
 そして、そう言えば彼もまた男だったんだとようやく思い出した自分が可笑しかった。そんな風に考えて、何故だかくすりと微笑んだあたし。
 淡い月光の誘惑に、あたしは伝えたい何かを唇に託して、何かを言おうとしていた彼の唇を徐に塞いだ……

〜fin〜