★☆1/1 カガりん。☆★

 

 アークエンジェル艦内。

 艦内食堂で遅めの昼食をとっているとカガリが悩んでいた。

「どうしたのカガリ」

「あ、キラ…。一寸いいか…」

 キラに気付いたカガリは近づいてきて耳打ちする。

「あ、あのな…」

 言いづらそうに言葉を濁らせる。

「なに?」

「男って何を貰ったら喜ぶのかな」

「もしかして、アスランの誕生日に?」

「うん」

「そうだなあ…」

 キラも考えてみると何も浮かばない。

 ふと、離れたテーブルを見ると丁度ディアッカとミリアリアが食事を運んできたところだ。

「ディアッカに聞いてみよう」

「ねえ、ディアッカ」

「なんだよ」

「ディアッカって女の子に何貰ったら嬉しい」

「何だよ唐突に」

 不信げなディアッカに

「ほら、カガリ」

「あ、アスランのた、誕生日なんだけどな」

 カガリは声が上擦っていた。

「え? そうなの」

 ミリアリアがそう言う。

「ああ」

「取りあえず…なんでも良いんじゃないかな。心さえこもってれば」

無難な回答だった。

「何でもいいって…」

「あっ、オレだったら…」

「あんたはゲームソフトとか、音楽データとか言いそうだからだめ!」

「あのなあ! オレは…」

「何よ」

「ミリーの写真とか」 

「え?」

「バスターのコックピットに張るんだよ!」

 …

 二人は良いムードだったが、これ以上話にならないので立ち去ることにした。

「…二人、出来てたんだな」

「…」

 鈍すぎる双子。

 

「え、エリカ・シモンズ主任なんてどうかな」

「そっ、そうだな」

 そんなわけで、クサナギのブリッヂに移動してシモンズ女史に

「…っていうわけなんです」

 と掻い摘んで切り出した。

「そうねぇ、私の経験から言わせてもらえば…」

 二時間ほど経過。

 恋愛〜出産から子育てと仕事の両立、はたまた飲み屋での武勇伝に至るまで、非常に中身の濃い話にキラとカガリだけではなく、キサカ艦長を始めとするブリッヂ要員のほとんどが熱心に聞き入っていた。後日、この時の話がキサカが発表した『クサナギよもやま話』に収録されたのは別の話し。

 しかし、結局、この二人が現在参考にしたい具体的な手段はほとんど聞き出せず。

 内容の濃い話を後に、仕方なく今度はエターナルのラクスのところへ。

「と、いう訳なんだよ」

「そうですわねえ〜、じゃあこういうのはどうでしょう〜」

 耳をそばだてるキラとカガリに

「男の方にはお聞かせづらいのでキラには外していただきたいのですわ〜…」

 

 そして、アスランの誕生日当日。

「それで、このでっかい包みは何なんだ」

 ディアッカ。

 エターナル艦内、巨大な包みを医務室の可動式ベッドが押されていく。押しているのは、キラ、ディアッカ。その前方をラクスとミリアリアが、何処で調達してきたか宅配便の制服を着て先行する。勿論、制服の帽子と胸に描かれているキャラクターはピンクちゃんだ。

「あんたは気にしなくて良いの!」

「そう言われると気になる」

「仕方ないわね…。あ、あんたの時にも…やったげるから

 顔を火照らせながらミリアリアは言った。何か事情を知らされているらしい。 

「でも、カガリは何処へ行ったんだろう。こんな大事なときに」

「心配することはありませんわ〜」

 ラクスは一人、妙に楽しそうだった。

 

 そうこうしているうちに

「着きましたわよ」

 ピンポーン(となるのかどうかは知らないが、便宜上(笑))

「ピンクちゃん印の宅配便ですわ〜」

 ノリノリなラクスに

「あ、ラクス…とみんな何やってるんだ」

 出てきたアスランはただ呆然としていた。

「それはオレが聞きたい」ディアッカ

「…あはは」キラ

「カガリさんからです受け取りにサインを〜」

 ミリアリアもノリノリ。

「あっ…はい」

 圧倒され、渡されたホールペンで思わずサインをするアスランに

「それではお幸せに…ですわ」

 とウインクして部屋を出るラクス。勿論、件の包みは抜かりなく部屋に押し込んでいた。

 部屋のドアを閉めて立ち去る間際、うわっ! とか、 どさっ! とか あすらんっ! とか聴こえた様な気がしたが、それを追求したら何か恐ろしいことになりそうなので、キラは、敢えて考えないことにした。

 

 アークエンジェル食堂

「で、あの中身は何なんだ」

 不審そうなディアッカに

「そうだね。ラクス、ミリー。そろそろ教えてくれても良いんじゃないかな」

 とジュースを啜りながら言う。

「そうね、あれは…」

 とラクスと目配せするミリアリア。

「カガリさんですわ〜」

「「ぶっ!」」

 キラとディアッカは同時に吹き出した。

「汚いわね二人とも!」

 キラとディアッカの二人は半ば唖然としているが、首謀者のラクスには動じる気配すらない。

「だって、一番のプレゼントって言ったらカガリさん本人に違いありませんし」

「でも、アレは遣りすぎでしょ」

 ミリアリアの突っ込み。

「いえ。やっぱり男の方が喜ぶとなるとあのほうがいいと思いますの」

「ってまだ、なんか仕掛けがあるのか…」

「だって…」

 赤面しているミリアリアを余所に

「生まれたままの姿は定番だと思いますわ〜」

 

 翌日。

 カガリとアスランが妙に余所余所しく、そして、何故か艶っぽかった。

 そして、二人が熱い夜を過ごしたことは想像に難くない。

 最大の謎はカガリがどうやってクサナギに戻ったかだった。

 何故なら、包みの中にはカガリの服が同梱されていなかったのだから…。